Live Computing Inc.

BLOG

ブログ

 ホーム    ブログ    サブスクリプション戦略論    クックパッド PC時代の戦略から脱却を
2019.08.21
サブスクリプション戦略論

クックパッド PC時代の戦略から脱却を

スマートスピーカーとレシピサイト

休日に料理しようとクックパッドで検索するのですが、どうも思うようなレシピが出てきません。

見たいレシピが出てこない。

クックパッドは、検索を新着順で表示します。キーワードに沿ったレシピが出るのですが、本当に自分が欲しいレシピは、なかなか出てこない。

プレミアム会員(月280円、アプリは400円)になると、人気順にレシピがみられます。しかし、私が見たいのは人気順ではなく、自分に合ったレシピ。自分の技術レベルや道具、住んでいる地域や、好みが反映されたレシピが欲しいと感じます。

なぜ新着順にレシピを紹介するのか

『600万人の女性に支持される 「クックパッド」というビジネス (角川SSC新書)』で、クックパッドは「新着順にするのは、新しいレシピに注目して欲しいから」と説明します。

初めて投稿するレシピでも、新着順であれば埋もれることなく、必ず人目に触れます。投稿した人は、レシピが見てもらえた、作ってもらえた、と嬉しく感じるチャンスが増えます。

クックパッドはプラットフォームビジネス。レシピを探す「受け手」、レシピを投稿する「作り手」のバランスが取れて初めて成立します。投稿しやすく、投稿した後も嬉しい仕掛けはおっしゃるとおり、絶対条件です。

レシピサイト タブレット

多様なレシピを紹介してほしい

しかし同じ本には「一番人気のあるものがおいしい、というわけでは決してない。もっと多様であるべき。」とも述べられています。

この考えを、強く支持したい。

多様性を表現するためにも、レシピの表示は新着順でなくてよいのではないか。例えば、動画共有アプリTiktokは動画をAI(人工知能)が評価するため、新しい投稿でも一気に再生回数が伸びることがあります。新しいレシピに注目してもらいつつ、多様なレシピを紹介することは、今の技術で十分可能だと思うのです。

最初の画面で、興味あるレシピが見たい(検索せずに)

現在のアプリは、検索する、カテゴリから探すなど、ユーザーがまず行動しないと、レシピが出ません。しかしできれば、アプリの最初の画面で、自分にあったレシピをすぐ表示して欲しい。

動画配信Netflixは、初期画面で毎回新しい映画やドラマが表示されます。人それぞれまったく違う内容です。番組を検索するという行為は、使いはじめを除くとほとんどありません。

Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」で表示されるアイテムのように、同じレシピを見ている人がどんなレシピを見ているかも知りたい。

ユーザーからの行動(プル)に返すのではなく、あらかじめカスタマイズした画面を用意(プッシュ)すべきではないか。ビジネス戦略からみても、カスタマイズ画面をプッシュすることは、2つ大きな課題を解決できます。

検索だけならGoogleで十分

Googleトレンドという、検索された量を時系列に調べられる公式ツールがあります。そこで「クックパッド」と検索された数を2004年から見たグラフを見ると、2013年2月を頂点に、きれいな山なりを描きます。

Google検索トレンド クックパッド

私はこのグラフを見ると、クックパッドが目的地として認識されなくなっていると感じます。2013年以降、他社や個人ブログのレシピが増え、クックパッドは検索結果の1つにすぎない。肉じゃがの作り方が知りたければ、Googleで「肉じゃが レシピ」と検索すれば十分だからです。

しかし、カスタマイズされたレシピがクックパッドで最初から表示されるなら、話が変わります。キーワードを打たなくても、興味をひくレシピがどんどん紹介してもらえるとわかれば、Google検索ではなくクックパッドが再び目的地となるからです。

スマートスピーカーに新着順は合わない

今後も新しいハードウェアとサービスが生まれます。特に声でやり取りができるAlexaなどスマートスピーカーは、手がふさがる調理との相性がとてもいい。

スマートスピーカーのレシピ検索は、会話形式です。どんなレシピを探していますか、使いたい食材はありますか、急いでいますか、などと聞かれ、候補を3つほど挙げてもらう。このとき、新着順にレシピを紹介していては、イライラされるだけです。

スマートスピーカーとレシピサイト

近未来のハードウェアを見すえても、調理レベルや好みにあわせたレシピ提案は必要。その基礎技術となるのが、ユーザーの好みや条件にあわせて、レシピをどんどん紹介していく仕組みです。

新たな収益モデルと成長戦略を描く

先日の休み。私は結局、グーグル検索して出てきたレシピで、料理を作りました。

投稿者が喜ぶ仕組みをキープしつつ、新着順ではなく柔軟にレシピを紹介することは、間違いなく可能です。その先に、受け手でなく送り手から収益をあげるなど、新たな成長戦略を描くこともできると考えます。

国内で成功しているだけに、変えるのは難しいと推察します。しかし画像や動画、音声が主流になるとき、パソコン時代に築いた検索主体のビジネスモデルでは厳しい。素晴らしいビジョンを持つクックパッドならではの新しいビジネスモデルと、それを体現するサービスを作って欲しいと願っています。

関連記事