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マイクロソフトは毎年、Office 365 Consumerの会員数を公表しています。法人は含みませんが、家庭用Officeのサブスクは開始3年で1000万ユーザーを超え、2020年6月時点で4000万ユーザーを超えています。
Office 365 Consumerとは、マイクロソフトオフィス定額サービスの家庭版。エクセルやワードを、PCやMACなど複数の端末で使えます(台数制限あり)。Office 365 HomeとOffice 365 Personalを含みます。
2013年に一般ユーザー向けプランを開始してからの、Office 365の会員数は以下のとおりです。開始3年で1000万、8年で4000万ユーザーがいます。
Office365会員の純増数をみると、3年目にあたる2015年だけで1000万、ユーザーが増えています。
この年はなんといってもWindows10発売が大きい。Annual Report 2015によると、毎月100万ユーザーが増え、iOSとAndroidオフィスアプリが1億5千万ダウンロードを超えています。
この3年間、Windows10の影響が薄まり会員獲得ペースが落ちていましたが、2020年は上昇トレンド。1月のWindows7のサポート終了と、コロナの影響でリモートワークが増え、800万人近いユーザーを上乗せしています。
出典:Microsoft Earnings Release FY20 Q4
『Office 365』の検索回数も、3月から急伸。1000万ユーザーを獲得した2015年の伸びより大きく、ブラウザでのログインやダウンロードが増え、利用者数が伸びているのがわかります。
Microsoftによると、すでにOFFICEユーザーの7割がOffice 365 Commercialに移行しているため、Office365の会員数は、今後さほど伸びないかもしれません。
Office 365 commercial now accounts for over 70 percent of our existing Office Commercial paid installed base.
出典:Microsoft FY2021 Q1 Earnings Call Transcript
しかしそもそもOfficeのサブスクリプション移行は、パソコンビジネス(Windows)と、業務ソフトウェアビジネス(Office)を切り分ける戦略でもあります。
Windowsとセットで売ることが強みだった時代ではない(いまアップルが直面する独禁法の問題もありました)。Windowsのパソコンがなくても、Officeを使ってもらう方が、ビジネスリスクは下がり、成長も期待できます。
その戦略の一例が、今年2月にリリースされたMicrosoft Officeアプリ。Word、Excel、PowerPoint を 1 アプリにまとめ、声で入力したり、箇条書きでスライドが作れたり、スマートフォンならではの使い方ができます。
マイクロソフト公式ブログ『Android と iOS のための新しい Office アプリの一般提供を開始』
上のエクセルは見ての通り、1行ずつカードのように表示して編集します。もはやパソコンの表計算ソフトとはまったく別物。個人的にはGoogleスプレッドシートのスマホ版より、はるかに見やすくて操作しやすいと感じます。
ただしこれも、パソコンで作ったExcelファイルが前提の加工ソフトに過ぎません。パソコンなしで、ゼロからリストや論文や履歴書を作るには、物足りない。
技術的には、キーボードを打たなくても買い物リストは作れるし、履歴書も書ける。話者を特定できるようになれば、議事録も人が書かなくてよいし、手書きメモからプレゼン資料を自動で書き起こすのも、さほど難しくはない。難しいのはそのアプリを作って世界的に普及させるところです。
マウスとキーボードがなくても仕事できる時代が来るなら、どんなアプリが世の中に普及するか。あるいは、そのアプリを買収しマイクロソフトがさらに成長するのか。
Office365の会員数の成長が、その指標になりそうです。
Youtube『Word Dictation video』
Youtube『The Microsoft Office app – Word, Excel, PowerPoint & more』