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2021.04.15
ゲーム進化論

クラウドゲームのデザインと非対称性

異なる役割のあるゲーム

クラウドゲームのよいところは、異なる端末を持つ人同士を、一つのゲーム世界で結びつけられるところです。スマホゲームと家庭用ゲームのプレイヤー同士をつなげたりプレイヤーとプレイ動画視聴者をつなげたりすることで、ゲーム体験も市場規模も成長する。

しかし、このようなゲームをどう設計したらよいのか?その答えはまだわからず、見つけていくしかありません。

キーワードの1つは、『非対称性』です。

非対称性のあるゲームデザイン。

ゲームにおける非対称性とは、複数のプレイヤーが異なる目的や手段・情報をもって遊ぶことを言います。1人が逃げて、その他全員が追いかける遊びも非対称です。

クラウドゲームは、端末を問わずゲームをストリーミング配信することができます。マルチデバイス対応などと言われ、音楽や動画のように、1人で端末を切り替えながらゲームを楽しむこともできます。しかし、これだけではつまらない。

Cloud Streaming gaming multi device

出典:Amazon Luna公式サイト

スマホのヒット作と家庭用ゲーム機のヒット作が大きく違うように、ゲームは端末によって操作も内容も大きく変わります。この異なる遊びを、1つのタイトルで結びつけるところに、ゲームならではのマルチデバイス対応があるのではないでしょうか。

さらにプレイ動画を見ている人がゲームに参加することも考えられます。プレイヤーとしてのスキルはなくても、アイテムを置いたり罠をしかけたりできる。この場合も、視聴者をどのように動機付け、どのような情報や手段を与えるのかといったゲームデザインが必要であり、必然的にプレイヤーとは異なる多角的なゲーム設計、つまり非対称になるはずです。

もっとも、ゲームの非対称性は新しい概念ではなく、WiiUのコンセプトの一つとして任天堂も提示していますし、『Dead by Daylight』など非対称な構造を持つゲームはいくつもあります。

 

出典:任天堂ホームページ 2012 E3 アナリスト Q&A セッション

『Minecraft』や『Fortnite』のような、スマホでも家庭用ゲーム機でも遊べるクロスプラットフォームタイトルもあります。これらは、端末が違っても同じ体験ができるものです。

けれど、タッチスクリーンとコントローラーそれぞれに適した遊びを一緒に楽しめるタイトルはない。ここに大きな市場機会があるように思うのです。

ひとつのIPから複数のゲームデザインを生み出す

1つのIPからアニメやコミック、グッズなど他のメディアに展開する例は多く見られます。しかし1つのIPや世界観から複数の遊びを生み出すのは、独特の難しさがあります。

私はこれを『ポケモンタイピングDS』で少しだけ、経験しています。というのも、ポケモンというブランドを活かしながらも、キーボードという入力方式で遊びを生み出さなければならなかったからです。

 

出典:株式会社ポケモン ホームページ

派生タイトルと呼ばれるゲームは、元のゲームから何をとり、何を切り捨てるか、判断がとても難しい。すべてを引き継いでは違いが出せませんし、すべてを切り捨てては同じIPとは言えなくなるからです。このタイトルでは、ポケモンを集めるところに特化し、育てたりトレーナー同士でバトルしたりする要素は省くことになりました。

一方、元のゲームに何かを足すことも、場合によっては必要です。作ろうとしているあそびの核はどこにあり、IPから借りてくるだけでは完成しないパーツはないか。このタイトルでは、「タイピングボール」という新たなポケモンボールを考案し、ポケットモンスターシリーズにはない設定と機能をもたせることになりました。

とはいえこれも、本編シリーズには何ら影響しない、単発のタイトル。クラウドゲームで本編シリーズや他の派生タイトルと影響を及ぼすようになると、どんな世界が広がるのだろうか。そんな想いが原点にあるのかもしれません。

新しいゲームというより、新しい世界観

先日、久しぶりに『ポケモンを創った男 田尻智』を読んでいたら、「ポケモンは新しいゲームをつくったというよりは、新しい世界観をつくったということだと思う」と田尻さんが話す箇所に目が止まりました。

新しい世界観を作り、そこにいろいろな遊びを足していく。さらに遊びにまつわるコミュニケーションも、足していく。

クラウドの仕組みを活かした新作が、国内であれ海外であれ、いずれ出てくる気がしています。

参考記事:『クラウドゲームの市場規模① スマホと家庭ゲームの融合

参考記事:『クラウドゲームの市場規模② プレイヤーと視聴者の融合

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