2023年9月にKONAMIさんが出した『パワフルプロ野球 栄冠ナイン クロスロード』が、家庭用ゲームメーカーへのヒントになるかもしれません。

『栄冠ナイン』は高校野球の監督となって、練習や試合をするシミュレーションゲーム。

注目すべき点が2つあります。

1つ目は、このゲームが家庭用ゲームソフトの1モードから生まれた点。

2つ目は、Vtuberが毎年大会を開催し、同時視聴20万人を超える人気をすでに得ている点。

家庭用ゲームソフトはシリーズ化するほど多機能になり、すべてをプレイしきれないユーザーが増えてきます。ユーザー側は一部しかプレイしないのに、全額を支払わなければならない。作り手は機能が増えたので価格をあげたい。ユーザーと作り手にジレンマが起きます。

そこで、モードが増えた家庭用ゲームタイトルの一部を切り出し、スマートフォンでも遊べる仕組みや操作性を織り込み、基本無料で提供する。ジレンマを解消し、拡大し続けるスマートフォンゲーム市場を取り込む戦略のヒントになります。

コミュニティーがすでに存在する点も見逃せません。4年連続で大会が開催されるほど人気があるモードだからこそ、単一の新作ゲームとして出せたとも言えます。逆に言うと、特定のゲームモードで実況者の方に遊んでもらい、コミュニティを作り上げる、という視点が作り手にあってもいい。

KONAMIさんはこのタイトルをプレイステーションやSwitchにも展開するとおっしゃっています。家庭用ゲームのIPから、基本無料のクロスプラットフォームゲームを生み出す好事例になってほしいと願っています。