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2017年3月にデビューしたMicrosoft Teamsの1日利用者数は、3年半で1億1500万人にもなります。開示されたりされなかったりしますが、四半期ごとの利用者数を見ていきます。
Microsoft Teamsは、チャットやビデオ会議ができるソフト。SlackやChatwork、Zoomと同じ機能を持ちます。チャットしながらExcelやパワーポイントを編集できたり、大組織で細かい管理ができたりと、独自の機能もあります。
Microsoftは四半期ごとに、いくつかの重要指標を情報開示(Earnings Call)します。Teamsはサービス開始2年後の2019年6月末に初公表。日次アクティブユーザー数(DAU: Daily Active Users)を公開しています。
公表しない四半期もあるため歯抜けですが、この1年間のユーザー数の推移は以下のとおり。2019年12月の2000万から、9ヶ月で1.1億ユーザーへ。6倍近い伸びを示しています。
コロナの影響で自宅勤務が増え、チャットやビデオ会議を利用する人も頻度も増えましたよね。
検索トレンドをみると、今年3月の『Microsoft Teams』検索が全世界で前月比10倍に急上昇。一度アプリを手に入れたら検索しなくなりますが、9月は新学期を迎えたからか、また増えています。
Microsoft 365(Office 365から改称)は、一部ブランを除き無料でTeamsが利用できるので、Office365をすでに利用していれば、追加費用なしで利用できます。これは競合するSlackやZoom、チャットワークにはできない、強者ならではの戦略。
同じく四半期で発表される数字を見ると、法人用Office 365の利用者数(Paid seats)が2.5億人、家庭用Office 365の会員数が4200万人なので、オンライン版のOfficeユーザーは3億人近い。これだけのユーザー基盤があれば、DAUが1億を超えるのもよくわかります。
マイクロソフトが追加費用なしで同じ機能を提供したら、強いのは当たり前。ここ最近のビデオ会議機能の強化は、MicrosoftのターゲットがSlackだけでなくZoomにあることを示します。
ZoomもMicrosoftに勝てる領域を見つけないと、厳しい状況が待っていそうです。
Microsoft Teamsの勢いをみると、Slackは消えることはないにせよ、成長には限界がある。Slackは2016年にGoogleと提携していますが、今後はより近づくか、買収されるかもしれません。LINEは別として、Chatworkなど国産のチャットツールも追い込まれていくのは間違いありません。
法人チャットツールの勝敗はだいぶ見えてきた。一方、PCやスマホすら使わない次世代のコラボレーションツールという意味での勝負は、これからです。
Microsoftもデスクワークではない現場作業者向けの機能を、積極的に開発。その戦略は間違っていません。ただ、それが成果につながるか、普及するかは、まだまだわからない。日本含めベンチャーにもチャンスはありそうです。
Microsoft『Microsoft Investor Relations』
Microsoft 365 Blog『Microsoft Teams at 3: Everything you need to connect with your teammates and be more productive』
日本マイクロソフト『Microsoft Teams の新機能 | Microsoft Ignite 2020』
Chanty『Slack vs Microsoft Teams: Which Tool Is Ahead of the Game?』
Coral Capital『なぜSlackはTeamsに抜き去られたのか』