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2020.08.22
ゲーム・IT企業のKPI

3つの視点でサブスクリプションビジネスを斬る!

サブスク 料金体系B

サブスクリプション型ビジネスの戦略を考えるとき、どこを起点にすればよいのか。世にある多くの事例と、手掛けたプロジェクト経験を元に、弊社が考える3つの切り口をご紹介します。

(1) メーカー型か、流通型か。

自社開発の商品を提供するのか。それとも、複数のブランドを集めてお客さんに提供するのか。ここが、サブスクリプションビジネスの出発点です。

メーカー型は、自社で商品開発するメーカーや、施設や出張型サービス、ソフトウェア企業がお客さんに直接、モノを届けたりサービスを提供します。質の高さ、お得感、スピーディーな対応、ファンのコミュニティ。Microsoft365セールスフォースネスカフェの定期便やテーマパークの年間パス、フィットネスクラブの会員権なども、メーカー型サブスクリプションです。

一方流通型は、複数の仕入れ先からモノを取り揃え、お客さんに提供します。豊富な品揃え、圧倒的なお得感、商品販売に付加するサービス、意外な商品の提案。NetflixAmazonプライムAppleミュージックエアークローゼットなど、サブスクリプションならではのビジネスモデルが多数あります。オリジナル商品を作ることで差別化する一方、仕入れ先であるメーカーと競合するリスクもあるビジネスモデルです。

サブスク戦略 メーカーか流通か

どの事例が参考になるか分かりづらいとき、この切り口でみると、参考にすべきビジネスモデルがはっきりします。

たとえば同じ映像配信の事例でも、流通・サービス型をお考えでしたら見るべきはNetflixですが、メーカーであれば参考程度にするべきです。むしろメーカーが参考にすべきは、Disneyプラス。Netflix型のサブスクリプションビジネスが席巻する中、彼らに商品(ディズニーアニメやスターウォーズ映画)を提供するのか、自社でサービスを立ち上げるのかなど、戦略的な見所がたくさんあります。

一見すると、流通型の方がカッコよくみえますが、自社の立ち位置によっては参考にならないことに注意してください。むしろ、コロナ禍で強くなったD2C(Direct to Consumer)の流れで、EC事業とは違う戦略オプションとして、メーカー型サブスクリプションビジネスは増えるはずです。

(2)  サブスクに何を組み合わせるか。

次の分岐点は、サブスク単体にするのか、他の販売形式と組み合わせるのか、です。すべてのビジネスが定額制のみに移行できるわけではありませんし、そうすべきでもありません。ここで進むべき道は、大きく3つあります。

一つ目は、最初からサブスクリプションで提供する方法。Microsoft365やAppleミュージックが該当します。購入前でも、お客さんに価値がわかるものが多いですね。

二つ目は、商品販売と組み合わせる方法。AmazonプライムやNintendo Switch Onlineが代表的です。メーカーであれば、商品を売りつつ消耗品やメンテナンスを定額で提供する。流通サービス型であれば、優先サポートや上級マイレージ会員のような優先権を提供するなど、いろんな方法が考えられます。

三つ目は、無料プラン(フリーミアム)と組み合わせる方法。ChatworkSlack日経電子版Cookpadなどが該当します。試してみないと価値がわからなかったり、ネットワーク効果の高いビジネスだったりする場合が多いでしょうか。

(3)  どのような料金体系で客単価を上げるか。

どのようなビジネスであっても、売上をアップさせるには、客を増やすか、客単価を上げるしか道はありません。サブスクリプションビジネスも基本は同じ。ですが、客数を増やしたり、値上げしたりするのとは別に、土台となる料金体系によって、ビジネスの成長度合いが大きく変わることがあります。ここでの考え方は、3つあります。

1つ目は、Netflixのように複数プランから1つを選ぶパターン。このやり方はとてもシンプルでお客さんにはわかりやすいし、業務運営も効率的。一方、複雑なニーズに柔軟に応えたい場合は、あまりオススメではありません。

手書きで恐縮ですが、図で書くと以下のようなイメージです。

サブスク 料金体系A

サブスクリプション 1系統の料金プラン

2つ目は、サブスクリプションにアイテムやサービスを追加提供するパターン。広くお客さんを獲得しつつ、優良顧客のニーズに応えられる。一方、定額で利用できると思ったものが、追加販売されていると不満を感じられたり、選択肢が増えすぎてお客さんが逃げてしまったりもします。

サブスク 料金体系C

サブスクリプション + 個別アイテム/ソリューション販売

 

3つ目は、アマゾンプライムビデオチャンネルのように、基本プランに、オプションのサブスクリプションを重ねるパターン。基本サービスを確立した上で、より多様なニーズに応えられる。一方、これは2つ目のパターンにも言えますが、プランがたくさんあるとそれだけ商品が分割されてしまい、豊富な品揃えやお客さんの想像を超える提案は難しくなります。

サブスク 料金体系B

サブスクリプション + オプション・プラン(複数選択可)

サブスクリプションは、ビジネスモデルの多様性を加速する。

サブスクリプションビジネスを解説する記事や本には、AIを使ったサブスクビジネスが最先端だ、と書かれているものがあります。

しかし、メーカーと流通/サービス企業ではそもそも出発点が違う。さらに同じ業界、同じ立ち位置であっても、その企業ならではの料金体系、ビジネスプランを生み出せるのが、サブスクリプションです。AIを使ったお勧め機能に力をいれてもいいし、いれなくてもいい。Adobeのようにモノ売りを完全に止めてもいいし、アマゾンのようにモノ売りとハイブリッドにしてもいい。

昔であれば、メーカーのやり方や既存の流通形態にあわせるしかなかった。他社の真似をしていてもなんとかやっていけた。けれど今は、メーカーが直販したり、独自の流通サービスを生み出したりできます。この流れはサブスクリプションだけが要因ではありませんが、サブスクが加速させているのは間違いありません。

当社クライアントの皆さまにも、伝えています。業界慣習に縛られることはない。みなさんそれぞれの、オンリーワンのビジネスモデルを探し出してほしいと願っています。

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