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2020.06.17
ビジネスモデルの研究

6つのサブスクリプション・ビジネスモデル

クックパッド 基本無料+サブスクリプション

一言でサブスクリプションといっても、唯一の万能なビジネスモデルがあるわけではありません。例えば、アマゾンプライムは物販に付加サービスを重ねるもので、サブスクのみで商品販売がないNetflixとは、ビジネスモデルが異なります。

さらにネットサービスやゲームは、基本無料にするかどうか、という大きな問題がある。そこで、自分の整理も兼ねて、考えられるパターンを整理してみます。

1) 有料サブスクリプション (単体)

1種類のプランを選ぶ、もっともシンプルなパターン。無料お試し期間があったり、プレミアムプランやファミリープランがあったりしますが、お客さんが選べるプランは1つだけです。

Netflixは月額定額サブスクリプションの一本勝負です。年間割引プランすらありません。ストアでレンタルや購入できるHuluや、追加サブスクリプションもあるAmazonプライムとは対照的です。

ワードやエクセルが使えるMicrosoft 365、顧客管理のSalesForceApple MusicLINEミュージックエアークローゼットメチャカリなど、法人個人問わず採用されます。

このビジネスモデルの欠点は、ネットワーク効果が見込めないこと。自社も取引先もSalesForceを使うとより便利、ということはない。知り合いも使っているからApple Musicがより魅力的になることもない。あまりネットワーク効果を求めないビジネスに向いています。

ワードやエクセルは多くの人が使うほどファイル交換がしやすくて便利ですが、最近マイクロソフトはブラウザだけで利用できる無料の Web 版 Officeを展開しています(パターン2で後述)。リアルタイムで友達と同じ音楽が聞けたり、家族や友人とお揃いの服を着たり、身の回りの人と一緒に楽しめるようになると、同じ流れになるかもしれません。

一方いいところは、商品に扱いの差がないところ。購入があると何を買うかを考えますが、一律定額なので新しいモノを気楽に試せるし、提供する側もお勧め(レコメンデーション)がしやすい。音楽でもファッションでも、買おうとは思わないモノを意外にも気に入ったりするのは、サブスクリプションの醍醐味の一つです。

ゲームも、やってみれば面白い作品がたくさんあります。買って失敗するかもしれないという心配から解放され、多数かつ多様なソフトが遊べるサービスの需要はある。けれど、これをビジネスとするには、かなりの難題があります。これは別記事『』にて取り上げます。

2) 基本無料 × サブスクリプション

一部分が無料で利用でき、続きを楽しむ人は月額料金を支払う。初めて利用する人に気軽に試してもらえるので集客がしやすい価格体系です。

基本無料には大きく二つ考え方があります。1つは無料キャンペーンに近いもの。ある程度利用して続きをやるなら、料金を支払うケースです。PCオンラインゲームのWorld of Warcraftはレベル20以上は無料で遊べないので、このパターンになります。

もう1つのパターンは無料でゲームの大部分は遊べて、サブスクはプラスアルファをもたらすもの。1)で述べたOFFICE無料版や、クックパッド、スマホゲームマリオカートツアーのゴールドパスなどが例に挙げられます。 

クックパッドであれば、レシピを書く人も見る人も多いほどいい。基本無料なので、多くのユーザーを集めネットワーク効果を高めやすいのが大きなメリットです。

一方、このやり方は有料会員数が少なくなってしまうので、売上を伸ばしづらいデメリットもあります。無料ユーザーに広告表示をしたり、客単価があがる従量・アイテム課金(後述)を組み合わせるケースが多いように思います。

3) 有料サブスクリプション × 従量/アイテム課金

定額でサービスが利用できて、追加でアイテムも買えるプラン。一定数の会員収入を持ちつつ、熱心なファンにより多くのものを提供し、客単価もあげられます。

タイムズカーシェアのように、会員費として月額料金、利用量に応じて追加料金を支払うものがまず挙げられます。

また、テーマパークの年間パスのように、一通りは遊べるけれど、飲食やグッズは追加でお金を支払う、オプション的な使い方もできます。Huluやアマゾンプライムで作品をレンタルしたり購入したりするのも、この方式です。

Hulu サブスクリプションとアイテム課金

ゲームの世界では、この形式をみかけません(もしご存知であれば教えてください)。私自身は、Huluのようにコンテンツに追加課金するよりは、コスチュームなどゲームそのものに影響しないオプション的なアイテムを売る方が、このモデルには合うと考えます。

4) 有料サブスクリプション × 有料サブスクリプション

月額で利用できるプランに、オプションで追加の月額プランが選べます。

追加で選べるサブスクリプションにもいくつか方向性があります。ひとつは、コンテンツで分ける方法。Prime Videoチャンネルは追加のサブスクリプションに加入しないと見れないコンテンツ(NHKオンデマンドなど)があります。

Prime Videoチャンネル 追加サブスクリプション

もうひとつは、付加サービスを提供する方法。ネットワーク品質保証や24時間サポート、保存できるデータ量(ゲームであればキャラ数やセーブ数など)、上級ユーザーが喜ぶサービスを生み出せると、客単価もあがります。

このビジネスモデルは、標準的なプランをプレミアムプランにアップグレードするのとは違い、元のプランに複数のオプションがつけられるので、より多くの選択肢を提供できます。ただし、プランは複雑になるので運営も手間ですし、何よりプランを選ぶという手間がお客さんにかかる。

特にPrime Videoチャンネルは、アマゾンプライムが映像だけでなくECや音楽など幅広くカバーしているために成立しているところがあります。コンテンツで分けるにせよ、付加価値で分けるにせよ、オプションとするプランには明確な魅力があって、かつプレミアムプランとは違う客層が対象でない限り、価格体系はシンプルにした方がよい、と考えます。

5) 基本無料 × 有料サブスクリプション × アイテム課金

上記の組み合わせとして、基本は無料で遊べ、サブスクリプションとアイテム課金いずれか(あるいは両方)を選べる仕組みもあります。

これも2パターン考えられ、無料->サブスク->アイテム課金という三段構成または、サブスクとアイテム課金を並列で選べる二段構成があります。どちらがよいというものではなく、サービス内容とビジネス目標にあわせて、選ぶことになりそうです。

例としてはスマホゲームのパズドラのパズドラパスやモンスターストライクのモンパスがあります。これらのタイトルはガチャによるアイテム課金が先行したため、ベースにサブスクがあるのではなく、サブスクがオプション的な扱いになっています。

パズドラパス アイテム課金にサブスクを追加

このモデルは複雑でどのようなビジネスがマッチするのか、とてもわかりづらい。ですが、的確な事例があれば、更新します。

6) 有料商品 × サブスク

商品本体を買って利用するものの、定額サービスに加入してより本格的に利用することができる仕組み。

パターンとしては、商品単体にサブスクリプションを重ねる場合と、商品を販売するプラットフォームのサービスとしてサブスクリプションを提供する場合があります。

前者は、IOT系のサービスで最初にハードウェアを買い、通信料含め月額で利用料を支払うものが想定できます。ゲームであれば、サブスクに一本化する前のWorld of Warcraftがとっていた価格体系でもあります。

後者は、Amazonプライムが代表例です。ゲームではNintendo Switch OnlinePlayStation Plusも、商品購入に付加サービスを提供するという意味では同じ。これらはサブスクの成功例とされますが、商品販売のオプションサービスという意味で、Netflixなどサブスクリプション一本で勝負するサービスとは分けて考える必要があります。

ビジネスモデルは自社カスタマイズする時代へ

かつて同じ業界であれば、どの企業も似たようなビジネスモデルでした。しかしサブスクリプションは、各社それぞれで料金体系が決められます。むしろ同業他社と同じプランでは、サービスが差別化しにくくなります。

新興ネットサービスにせよ、歴史ある企業がデジタルトランスフォーメーションするにせよ、各社がそれぞれビジネスモデルを考え、カスタマイズする時代になります。そんなとき、意外にヒントとなるのが他業種です。

ここにあげた切り口がすべてではありませんが、参考になれば幸いです。よい事例などあれば、更新します。質問があればお問い合わせフォームより、よろしくお願い申し上げます。