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全世界で4600万人が利用するソニーのゲーム・サブスクリプション、PlayStation Plus。PS5発売を受けて、今後の成長やリスクをみていきます。
PlayStation Plus(以下PS Plus)は、毎月2-3本の人気タイトルを追加料金なしで遊べる「フリープレイ」や、世界中のプレイヤーと対戦や協力プレイを楽しめる「オンラインマルチプレイ」を提供する、サブスクリプションサービスです。月850円の定額制で、1/3/12ヶ月単位で購入します。
10年前から続くサービスで、PS3からかぞえ、据え置き型の新ハードを迎えるのは、PS5で2回目です。
PS5よりPS Plusの会員数は伸びるのか?逆に、PS PlusがPS5の販売を後押しするのか?
決算情報をグラフ化しながら、整理します。
PS Plusの会員数は2021年6月末時点で、4630万人(SONY投資家情報 2021年度 第1四半期 補足資料)です。会員数を公開するようになった2015年以降の推移は、以下の通りです(2015,2016は年度末のみ)。2020年はPS4の商品寿命が終わりに近づくなか、コロナウィルスによる巣ごもりの影響で4760万人まで伸びましたが、今年に入り減少しています。
競合するゲーム機メーカーのサブスクリプション、MicrosoftのGame Passは2300万人、任天堂のNintendo Switch Onlineは2600万人なので、価格や内容に違いはあるものの、他社をリードしているといえます。
一方、業種も仕組みも違うものの、Netflixの2億人、Spotifyの1.5億人と比べると、成長余地はまだあるようにも思えます。
PS Plusは、お客さんがPlayStationというハードウェアを持つことが前提のサービスです。そこで、先ほどのグラフにPS4の販売台数を重ねてみます。
2013年発売のPS4は、2016年から販売数が下がっているものの、PS Plusは会員数を伸ばしています。ハード購入と同時に加入するのではなく、オンラインマルチプレイタイトルを買うなど、しばらく経ってから加入する傾向がありそうです。ちなみに第3四半期が毎年伸びるのは、年末商戦の影響です。
1億1千万台を超えるPS4の累計販売数とPS Plusの会員数を比べると、約4割の方がPS Plusに加入しています。PS4 Pro(2016年発売)など複数のPS4を持つユーザーもいるため、人数や稼働するPS4を分母にすれば、もう少し比率は高くなるはずです。
さて、2020年11月に発売されたPS5は、PS Plus会員数にどのような影響を与えているでしょうか。
PS Plus会員の増減をみると、2021年第一四半期は130万人ダウンと減少しています。一番影響が大きいのはPS5よりも、コロナ禍から1年経ち、12ヶ月利用権が終わるタイミングが来ていることにありそうです。
PS5は同時期に230万台を売っていますが、初期のPS5購入者はPS Plusに加入している方がかなり多いでしょうから、PS5とPS Plus会員数の関係については、結論を出すには時期早々といえそうです。
サブスクリプションビジネスとしてPS Plusをみると、今のやり方ではPlayStationの台数が上限なので、1億人を超えるような成長は見込めません。PlayStationという自社ハードに依存しないゲームサブスクリプションをSONYが展開する可能性はありますが、ここではむしろ、PS Plusの会員数が減る可能性を指摘したいと思います。
1つは、コロナによる巣ごもりで加入したユーザーの解約がさらに増える場合。
もう一つは、PS5の販売が伸びず、コアゲーマー以外の裾野にまで行き届かない場合。
あとひとつは、PS Plusなしでもオンラインマルチプレイが楽しめるFree to Playタイトルが増える場合。
そういう意味でも、コロナ禍による最初の外出制限から1年が経ち、年末決算を迎えてもPS Plus会員数が減り続けるのか、それとも反転して伸びるのか、注目したいと思います。
この記事は4半期の決算発表ごとに更新していきます。
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ソニー 投資家情報
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