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2020.10.02
デジタルビジネス事例集

まだまだ、ファッションサブスクはこれから。Rent the Runwayの戦略と課題

Rent the Runway 900万会員

男性は結婚式で同じスーツを着れても、女性は同じドレスを着づらい。着まわすことを考えると、どうしても個性的な服より無難なものを買ってしまう。そんな女性の悩みを解決したいと、アメリカのファッションレンタルRent the Runwayは言います。

好きな服を選び、洗わずに返す。

Rent the Runwayは2009年に結婚式など衣装レンタルからスタートし、今や会員900万人以上の月額定額ファッションレンタルサービス。

在庫がある無数のファッションアイテムから、次の週に仕事やプライベートで着たい服を選ぶ。届いた服の返却期限はなく、気に入ったものは買うことも出来る。洗わず返却OKで、プランにより月に複数回、服を届けてもらえます。

こちらの動画で女性が服を無造作にバッグに入れるのが、ちょっと驚き。たたんで返したいと思うのは、私だけでしょうか。。でも、洗わなくてよい、というメッセージは伝わります。

中心の価格帯が100ドルを超える料金体系

Rent the runwayの料金プランは、月1、2、4回と服が届く回数で分けられています。

rent the runway 価格体系

月額プランで目につくのは、中心価格帯である月2回プランで1万4千円を超えるところ。月1万円超えのサブスクリプションは、なかなかハードルが高いものがあります。

アメリカでも男性に比べて女性の給与は低いですが、それでも他国と比べると、働く女性は多く、エグゼクティブも多い。Rent the Runwayが海外進出するなら、価格帯を下げた別ブランドを立ち上げるなど、別の戦略も考えられそうです。

女性のファッション支出を抑える

Rent the Runwayの訴求ポイントのひとつは、ファッションにかかる費用を下げること。服を買うだけでなく、クリーニングにかかる費用と時間も大きいですよね。

例えばこちらの女性は月2000ドル(20万円)ほど服にお金をかけていたのが、月200ドルで済むようになったと話します。お店で気に入った服を見たら、以前はその場で買っていたが、今はまずRent the Runwayで借りてみる話(動画の最後あたり)は、服を買うという消費行動とこれまでのアパレル業界の常識が、根底から変わっていくことを感じます。

 

実際に着た感想とレコメンデーション

コミュニティ機能も魅力的。実際に着た人が、サイズ感や他のアイテムとの組み合わせ、着たシチュエーションをコメントし、他の女性が参考にしたり共感できたりします。

やらせレビューの問題もありコメント機能はデメリットが多い。ですが、似た者同士で同じアイテムを評価し合う仕組みは、効果的です。サイト上で服を売るわけではないので、やらせレビューが入る必然性もありませんし、攻撃的な批判も少ないはず。おそらく同じ服を高評価(ハート)する人同士で、共通して好むアイテムをお勧めするレコメンデーション(協調フィルタリング)ではないかと考えています。

Rent the Runway 900万会員

もっとも今後、価格帯を下げてより広い顧客層を獲得したり、海外進出したりすると、同じやり方では効果が出ないかもしれません。

アパレルビジネスを環境にやさしく

サステイナビリティもRent the Runwayのアピールポイント。

数回着るだけの服を何着も買うよりはるかに環境にやさしいし、服を届ける際の再利用バッグ、レンタルされなくなった服のリサイクルなどの取り組みに、公式動画に出てくる女性ユーザーの多くが言及します(言わされてるかもしれませんが)。

コロナで業績悪化とレイオフ

2019年にUS$1Billion(1000億円)の時価総額で出資を得たRent the Runway。今年はコロナウィルスの影響で出かける機会が減り、着る服も減っているのは間違いないく、店舗の閉鎖、スタッフの解雇と厳しい発表が続きます。

彼女らは売上利益を公表しませんが、例えばRent the Runwayと検索された回数では今年3月に70%下落し、回復の兆しは見えません。実はコロナ前から少し下がり気味で、既存ユーザーはアプリを使い、新しいお客さんがRent the Runwayを調べる機会が減っているのかもしれません。こういったことがあるので、会員数を定期的に公表する会社が少ない。

 

成長戦略が難しいRent the Runway

Rent the Runwayはトップが女性ですし、役員の75%、スタッフの70%を女性が占め、GAFAよりも人材が多様なのは間違いない。けれどサービスは、人種の幅は広くても、アメリカのエリート女性という、ある意味、画一的な層がターゲットです。

10年前からファッションレンタルを手がけてきたビジョンと経営手腕は素晴らしい。しかし今後大きく成長するには、自身を大きく変革させるしかないように思います。

なんといってもユニコーン企業ですから、期待に応えるには、高収入で環境意識の高い女性から、ターゲットを広げざるを得ません。今後、より大衆的な価格帯に広げるのか、男性ファッションを手掛けるのか、海外進出するのか。そのとき、どのようなアイテムを揃え、料金モデルは変えるのか、コミュニティ機能を維持し続けるのか、気になるポイントがたくさんあります。

面白いのは、自社インフラをファッションデザイナーに公開すると話す、プラットフォーム戦略。もっとも、投資家へのリップサービスに留まっているのか、成果が出ている様子はまだありません。

ファッション・サブスクリプションは参入余地がある

アパレルビジネスとしてみると、ファッションレンタル市場をRent the Runwayがすべて取っているわけではないし、取れると約束されてもない。Rent the Runwayがコロナ禍で苦しんでいる間に、足元アメリカで競合が急成長するかもしれませんし、海外でも彼女らがアメリカ的な価値観に縛られすぎると成功は難しい。

アフターコロナは新品だけでなく中古やレンタルが全世界的に普及していくは間違いありません。あとは、どこの誰が、いつ、どのようにして市場を勝ち取るか。

まだまだ、勝負はこれからです。

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