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Appleは製品売上をiPhone、Mac、iPad、その他(Apple Watchなど)、の4つにわけて公表するのですが、2019年以降、iPhoneの売上だけ減少が続いています。
2020年決算のiPhone売上高は$137Billion(約14兆円)と、前年から$4.6Billion(約4800億円)下がりました。iPhoneの売上が下がるのは2年連続で、他の製品やサービスが成長するなかiPhoneだけが縮小するのも、2年連続です。
今年はコロナの影響でiPhone12の発売が遅れ、例年9月期末に貢献する新型iPhoneがないことも背景にあります。
2007年1月に発表されたiPhoneの販売数は2018年まで年度ごとに公式発表されていました。以下グラフでみると、2012年と2015年の伸びが特に大きい。
出典:Apple Investor Relations
2012年は9月期末直前のiPhone5だけでなく、2011年発売のiPhone4sがフル貢献。iPhone4とiPhone3GSも堅調に売れた結果、前年から5280万台を上乗せ73%アップを達成しています。
2015年はiPhone6とiPhone6sが絶好調で、前年から6199万台アップの2億3212台、比率で37%も成長。iPhoneの平均販売単価も11%アップしています。
2016年に初めて下がったものの、年間2億台を販売してきたiPhone。上記のグラフに売上を重ねると、2015年と2018年は台数よりも売上の伸びが目立ちます(販売数は2019年以降、非公開)。
2015年に平均単価が上がったのは、前述の通り。2018年は前年のiPhone8, iPhone8 Plux, iPhoneXで全体的に価格を上げています。
Appleはその後もiPhone XSで価格帯を上げましたが、売上アップにはつながりませんでした。
実は検索トレンドをみると、iPhoneが一番注目を浴びていたのは8年も前。『iPhone』で検索された数(全世界)をみると、毎年iPhoneの新型が発表される9月に伸びるものの、iPhone5以降はその頂点がずっと右下がりなのがわかります。
だだし、注目度が下がっているのはAndroidも同じ。ハードの差別化はすぐ追いつかれますし、App StoreはAndroidと違いを出しすぎると、人気アプリに逃げられてしまう。アメリカのSection 230にまつわる議論も、GAFA各社のサービスが生活に欠かせないものになったからこそ問題になっています。
iPhoneが生み出した、アプリを含むスマートフォンのシステムは、もはや電力や水のようなインフラ。ある程度普及したら、販売台数が落ち着くのは致し方ありません。
今後はApple自身も強調するように、競合するAndroidやAmazon Alexaでも楽しめるApple Musicのような、ハードウェアと切り離したサービスが主役になりそうです。
ZDNet『Here’s an interesting chart: iPhone unit sales have been declining steadily for 5 years』