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2019.08.05
サブスクリプション戦略論

Adobe サブスク開始直後の会員数推移

adobe creative cloud 会員数(四半期別)

Adobeがサブスクリプションを開始した当初、会員数の伸びは月4万人ほど。ですが、1年後には毎月10万以上のユーザーを獲得し続け、1年半で100万人を超えました。

2016年以降、Adobeは会員数を公表していないのですが、立ち上げから3年間の動きを見ていきます。

デザイナー向けソフトを定額サービスに切り替え

Adobeはイラストレーターやフォトショップなど、デザイナー必須ソフトを開発。従来はDVDやダウンロードで製品として販売していました。

adobe cc package

2011年、これらのソフトを月額で提供すると宣言。翌年サブスクリプションサービス、Creative Cloudを開始します。当時のサービス紹介映像がこちら。

開始から1年後には、従来型のパッケージ版を今後出さないと発表します。これによりヘビーユーザーはサブスクリプション型に切り替えざるを得なくなりました。

1年3ヶ月で100万ユーザー突破

最初の2年半、Adobeは四半期ごとにCreative Cloudの会員数を発表。1年3ヶ月で100万人を突破します。

adobe creative cloud 会員数(四半期別)
出典:Adobe Financial Documents

純増数は1年で月10万ユーザーを超える

四半期ごとに増えたユーザー数を示したのが、以下のグラフ。

サービス開始から1年で月ベースで10万ユーザーを獲得するようになり、2014年には月に20万を超える新ユーザーを獲得しています。

adobe creative cloud 会員純増数(四半期別)
出典:Adobe Financial Documents

2015年、初めて成長が鈍化

上のグラフを見ると最後の2015年第1四半期、初めて純増会員数が前期を下回りました。前回の64.4万人から51.7万人に2割減。同時に四半期ごとの公表もなくなりました。

会員数が600万を超える

成長のペースは落ちたもののの、それでもユーザーは増え続けています。2015年通年では270万の純増があり、11月の決算で会員数は617万と発表されました。これが現時点で最新の、Creative Cloudサービスの会員数です。
出典:Adobe Q4 and FY2015 Earnings Release

adobe creative cloud 会員数(年別)
出典:Adobe Financial Documents

会員数の公表をやめたAdobe

Adobeは2015年以降、個別サービスの会員数を公表していません。最後のパッケージ商品、Creative Suite 6は2012年発売ですから、その後3年間で大多数の既存顧客はサブスクリプションに移行してしまった、のかもしれません。

デザインソフト事業はまだ伸びる

では、創業以来の基幹ビジネス、Creative Cloudはもう成長余地がないのでしょうか。

サービス開始から7年。古いパッケージ版を4年5年と使っていたユーザーも、多くはサブスクリプションに移行しています。パッケージ版は毎年300万個ほど売れていたと聞くので、600万あたりが妥当なユーザー数かもしれません。

しかし、まだ成長の余地は大きくあります。

1つは、世界の人口の半分がようやくインターネットにつながったばかりであること。まだフォトショップもイラストレーターも触ったことがないユーザーが相当数いることに間違いはありません。

もう一つが、画像も動画も個人が編集する場面がますます増えること。個人が作品を編集するだけでなく、そのまま配信する時代です。この領域でのAdobe製品には、まだまだチャンスがあります。

デザインソフト以外の事業が伸びる

さらにAdobeには、デザインソフト事業以外に、PDF事業と法人ソリューション事業があります。これらもサブスクリプションを導入していますが、PDF事業は単なるライセンス管理でしかないなど、まだ発展半ばな印象があります。

特に法人向けは関連企業を買収するなど、今後収益が伸びていく可能性が大いにあります。

新興のデザイン編集サービスが普及する可能性も

一方、パソコン時代の王者だったAdobeが、スマートフォンやタブレットの時代もずっと安泰だという保証はありません。

ひょっとすると、新興国向けや、配信に合わせた、Adobeの会員数を奪うようなアプリが出ているかもしれません。サブスクリプションの成功例とされるAdobe社の動向から、まだまだ目が離せません。

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